Desi Girlは2014年のヒット曲で、映画DOSTANAで、Abhishek, John,sohiteあの美しいPriyankaが登場し踊りまくるコメディータッチの映画だ。Desi Girlとはインドの女の子という意味で、Desi Boyならインドの男の子ということになる。とにかく私にとってはこんなことはどうでもよく、Desi Girlのハイタッチな曲と、ダンスクラスで踊っていた振り付けが、なんとも奇妙で面白かった。こんな振り付けは、ジャズダンス、モダンダンス、アフリカンダンス、スパニッシュダンスなど、私が体験したダンスでは見たこともない動きで、特に首や肩の動きには、これぞインドという振りがしっかりと乗せられていた。きっとボリウッドダンスに興味のない人が見たら「大丈夫、この人」となるのだが、踊っている本人は全く真剣である。だいたいLove storyにトラが出てきたり、コブラが出てきたり、威張った男が現れたり、戦いあったりと、こんな忙しいダンスの振りはボリウッドダンス以外には無いと思っている。

SPICE samurai 物語 6

You TubeでMarjaaniという曲を検索すると、シャールーク・カーンとカリーナ・カプールがお城のようなところでその召使いと一緒に踊っている画像が出て来る。ボリウッドダンスの振り付けは変わっていて、他のダンスに比べると民族色が強い。世界を見渡すと民族色の強いダンスはたくさんあるが、ほとんどがその地域だけで完結している場合が多い。しかしボリウッドはインド映画の中だけでなく、これがロンドンやニューヨークなどのビックシティーの中に浸透すると、エクササイズやポップダンスに変身しながら世界中で市民権を獲得している。その昔インド映画は恋物語が中心で、切った張ったのアクションの中に、突然のように男女のカップルが現れ、女性の甲高い声が鳴り響くとまったりとしたダンスが始まる。ところが今はクラブで踊りまくるシーンや、スケールの大きなアクションシーンで踊りまくるといったダンスが主流で、ボリウッドは時代とともに変化している。

さて、Marjaaniを体験したあと、「ボリウッドを踊りたい!」という気持ちにさせた決定打がDesi girlだった。

SPICE samurai 物語 5

ボリウッドダンスがそもそも何なのかも良く知らないまま、ネット検索していると新宿でやっと一つ見つかった。物語2でも書いたが、このクラス、不思議なところだったが妙にインドっぽいところがあった。この時点ではインドを旅したことがなかったので、あクマでもイメージでしかないが、スタジオは繁華街に面していて、反対側にある店のカラーネオンが何ともインドっぽくもあり、冬など寒くて窓を開けられないと部屋中にインドっぽい匂いが漂い、窓は外が全く見えない状態で曇ってしまい、それもインドの裏町を思わせるような雰囲気を漂わせていた。私が体験と称して最初に見たのはMarjaaniという曲を男女合わせて踊っている光景だった。男子は皆インド映画の顔になりきっていた。あとで聞いたらシャールーク・カーンというスーパースターが主役だそうで、インド人の若者はみんなこの男になりたいらしい。女優の方はカリーナ・カプールという、これも大女優。有名なインド映画には何度も登場している。しかしこんな情報を知ったのはその後だいぶ時がたってからだった。それでも私を引き付けたのは、ここは新宿じゃない別世界が作られているということだった。

 

SPICE samurai 物語 4

私が最初に出会ったボリウッドミュージックは映画Rang RasiyのRang Rang、確かYouTubeで検索したらたまたま出てきた一曲だったと思う。体のあちこちを回すにはもってこいの曲でそこにヨガポーズを入れたり、ストレッチを入れたりした。ママたちにもベイビーを抱きながらインド音楽で踊るというのも珍しかったようで、幼児の曲をかけて踊るよりノリは確実に良かった。ただこれも毎回となるとこちらの方が飽きてくる。そこで探し始めたのがインドダンス、ボリウッドダンスのクラスだった。

SPICE samurai 物語 3

さて、時は2012年、私はダンス音楽の新しいジャンルを探していた。当時若いママたちに英語でリトミックというクラスを教えていた。赤ちゃんができてからジムやダンススタジオに通えないママたちに、赤ちゃん同伴でベビーソングからヒップポップまでを英会話を交えながら楽しもうというクラスだった。フラはもちろんのこと、フラメンコからサンバまで世界中のダンス音楽を見つけてきては、まだ生まれて間もないベイビーを抱っこしながらのママたちに至福?の時間を提供していた。しかしこれも毎日のこととなると、教える方が飽きるしモチベーションが下がる。そんな時バングラデッシュから日本に不法滞在をしていた、なんとも元気で楽しい若者たちに出会ったのだった。彼らは毎回バングラデッシュのミュージックビデオみたいな動画を持ってきては、「女優のこれこれは最近離婚した」だの「この主人公役は5回も結婚している。」などのゴシップを楽しんでいたが、とにかく主人公の女性が甲高い声で愛を語り、男性の主人公が女性を助けて大活躍するというのが毎回のストーリーだった。その映画の中では必ずダンスシーンがある。それも突然のように現れ、ストーリーとは関係のないストーリーで踊り出す。これがもしかしたらボリウッドダンスもどきとの最初の出会いだったかもしれない。

spicesamurai.hatenablog.com

 

SPICE samurai 物語 2

SPICEsamuraiの名付け親はあの有名なNISHUKUN。SPICEsamuraiの代名詞みたいな男子だった。実はコロナ禍で連絡が取れなくなり、未だに行方不明。このブログをどこかで見つけて欲しいと心から願っている。さて、このNISHUKUN、インドに行けば体型がガネーシャと似ていることからインド人の間で大人気となり、おまけに人がめちゃくちゃいいので騙されやすい。インド人だけではない、日本人にも騙されること多々あり、そのたびに一緒に行動している私とさっちゃんはムカつくのだが、本人が騙されたことがわかり落ち込んでいると、なんというかいつもかわいそうになり、結局は「ちょうがないわね、わかったわよ。」ということでNISHUKUNを許し、一件落着となる。だいたいSPICEの結成そのものがそうだったのだ。

NISHUKUNとさっちゃんには、当時東京でも珍しかったボリウッドダンススクールで出会った。新宿の雑居ビルにあったこのスクール、人がやっと1人通れるような階段を上がると、火事になったら窓から飛び降りるしかないような部屋に、なんというかインドを求め続けて一万里みたいな人たちが多勢集まっていた。インドオタクというのではない、かと言ってインド通でもない人たち、皆非日常を求めているといった感じの人たちだった。そのせいか不思議な雰囲気の中でボリウッドダンスのレッスンを受けることができた。

SPICE侍 物語 1

SPICE侍 物語

 

Bollywood dance company SPICE侍が結成されて10年になる。もともとSPICE侍の出発は、あるボリウッドダンススクールを破門された3人がボリウッドの楽しさをもっと多くの日本人に伝えるために立ち上がったカンパニーである。今ではインド映画も頻繁に日本で興行されるようになり、エネルギッシュで力強い、ドーパミン満点のボリウッドダンスに興味を持つ人たちも増えてきた。この10年を振り返ると、インドダンスやインド人、インド文化とも深く関わり、振り付けはインド人かインド文化をよく知るプロのダンサーだけにお願いしてきたことが、SPICE侍が発信するパフォーマンスを常に盛り上げてくれたと思っている。

 

10年間を振り返ってみると、実にドラマが多かった。どのダンスカンパニーにもドラマはあるが、そこに外国人や芸能人が入ると刺激的な味になる。それをこれから物語にしてみなさんと共有したいとブログを始めてみることにした。